サーチファンド起業とは

サーチファンド起業とは、起業家(サーチャー)が、投資家の支援を受けて中小企業を買収・承継し、自らその企業の経営者となり“第二創業”を目指す仕組みのことです。
資金調達は〈サーチ資金→買収資金〉の二段階で行われ、投資家は小口出資から参画し、案件確定後に本格投資を判断できるためリスクを段階的に抑制できます。
サーチャー自身がすべてのフェーズを主導し、買収後の経営を担う経営当事者型モデルにより、オーナーの想いを受け継ぎつつ腰を据えた価値向上に取り組める点が特徴です。

サーチファンド起業――世界と日本の“いま”

世界で広がる第二創業のエコシステム

サーチファンドは北米で生まれた「起業と事業承継を組み合わせたモデル」で、1984年の誕生以来、米国とカナダだけで累計600件を超えるファンドが組成されています。最新調査では、投資実行後の平均内部収益率(IRR:運用期間全体を年利換算した指標)が約35%、投下資本倍率(ROI:投資額に対して最終的に戻ってくる金額の倍率)が約4.5倍と報告されており、長期的に見ても投資家が十分に魅力を感じられる水準のリターンを維持しています。近年では MBA 修了直後の若手も積極的に参入するキャリアパスとして定着しつつあります。

日本は“黎明期”から“立ち上がり期”へ

日本では2019年ごろから官民ファンドや地方銀行が相次いで支援に乗り出し、ようやく立ち上がり期に入りました。
その背景にあるのが深刻な事業承継問題です。国内企業の99%を占める中小企業では経営者の平均年齢が63歳に達し、約6割が後継者未定のまま事業を続けています。こうした企業に、"顔の見える若手経営者"が経営を引き継ぎ、雇用と技術を次世代へつなぐ——サーチファンドはその最前線に立つ仕組みとして注目を集めています。